2014年07月05日

「逆像法」覚え書き

今日の新規習得事項。数学を特に勉強している方でないと厳しいかも知れません。

「逆像法」

■とりあえず、それは何なのか
係数に変数を含む y=f(x) のグラフの領域を求める際、そのままの形の式を睨んで変数を動かした時のグラフを直に描いていく攻め方を「順像法」と言い、変数を動かすのではなく、(変数)=g(x,y)の形に変形してから、変数が実数として存在しうる(x,y)の範囲を求めるという発想で解く攻め方を「逆像法」という。

■例えばこんな問題で……
たとえば、以下の関数のグラフにおいてaを任意の実数とするとき、グラフが通過し得る領域を求める。

y = 2(a+1)x - a^2 + 1(ただし「a^2」は「aの二乗」の意)

順像法だと、とりあえず「a」にいろんな値を入れてみる。そもそもこの関数は直線のグラフを表すものだけれど、aにものすごく大きな数を入れると、直線の傾きがものすごく大きくなって、ほぼ垂直な、ほとんどy軸に平行な線になる。そのとき、y切片もかなりスゴい値になって、「a^2」に負号がついているから、ものすごく下の方を通る。ちょっとイメージしにくいですね。
「a」に0を代入する。傾きは2で、y切片は1になる。
「a」に-1を代入する。傾きが0で、つまり水平、x軸と平行になる。y切片は0になる。
「a」に-2を代入する。傾きは-2で、y切片は-3になる。

この三本の直線を引いてみると、x=-1を対称の軸として、左右対称な状況が見えてくる。
うーん。たぶん、放物線でしょうね。点(0,1)、(-1,0)、(-2,1)を通る放物線を思い描くと、うまくいきそうです。その放物線の外側が、たぶんグラフが通過する領域です。
ただ、答えはだいぶ見えて来ているものの、ちょっと手間がかかっているし、まともな証明になっていません。まだ続く。

逆像法だと、まずは与式を「a=」の形に直すところからです。

y = 2(a+1)x - a^2 + 1
y = 2ax + 2x - a^2 + 1(カッコを外して展開)
y - 2x - 1 = 2ax - a^2(aを含まない項は左辺へ)
y - x^2 - 2x - 1 = -x^2 + 2ax - a^2(ちょっとトリッキーですが、両辺にマイナスのx二乗を追加)
y - (x+1)^2 = -(x-a)^2(両辺ともxについて平方完成できます)
(x+1)^2 - y = (x-a)^2(両辺とも-1倍した)
±√{(x+1)^2 - y} = x-a(表記が分かりにくくて恐縮。左辺は中カッコ全体にルートがかかっています)
a = x ± √{(x+1)^2 - y}

さて、(x+1)^2 - y がルートの中に入っています。この部分が負の値になると、ルート部分が虚数になってしまうのでaが実数でなくなる。それは困るので、y ≦ (x+1)^2 という範囲が得られる。とまぁ、こんな具合です。


■逆像法の「像」とは……
順と逆という文字の意味は一見して明らかですが、「像」という文字が入っているのが、イマイチ謎です。この「像」Wikipediaを調べると、集合論の言葉だそうで。「写像」とかと同じ「像」であり、つまり「逆像法」の背景には、aと(x,y)の関係を集合から集合への写像と捉える発想がある、と。そんなところでしょうか。
posted by FORWARD-ac at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2012年11月10日

これだから数学は楽しい

FORWARD塾長、松尾です。
またマニアックな記事を書きます。マニアックな話やクダラナイ話が続いていて申し訳ない……

昨日、調べものをしていて、メルセンヌ数という一群の整数に行き当たりました。メルセンヌ数とは何か。2を何乗かして、1をひいた数です。つまり2の1乗から1をひいた1や、2の3乗から1をひいた7が相当します。
メルセンヌ数という名前は一般的に認知されるものではないと思いますが、その意味する数字は、中学受験などでもお馴染みのものです。たとえば一辺1センチの正方形のタイルを用意し、つぎにそのタイル二枚をくっつけた1センチx2センチのタイル、つぎにその2倍の2センチx2センチ……と追加していったとき、何回目の追加で面積は何平方センチメートルになるか。この答えはメルセンヌ数列になります。(適切に配置すれば、縦横が2倍2倍に増える長方形や正方形の中に1マスだけ間隙がある図形になるため)また、ハノイの塔と呼ばれる有名なパズルの答えはメルセンヌ数列になります。

それで、そのメルセンヌ数のうち、特に「2を何乗かして、1をひいた数」の「何乗」の部分が素数乗になっている数は、計算して出来る数も素数である場合が多いと指摘されているそうです。この数の由来となった17世紀フランスの神学者・数学者マラン・メルセンヌ自身が上記に該当するいくつかのメルセンヌ数を提示しているそうです。ただ、そこには漏れや、実は素数でない数も含まれていたそうで。後にいくつか訂正を受けている。

それで、僕が喜んだのは、そんな間違いの指摘のひとつについて、ウィキペディアにあった記述です。マラン・メルセンヌが素数だと主張した、2の67乗から1をひいた数が、フランク・ネルソン・コールという学者によって素数ではないと示された。ちょっと潤色されているかもしれませんが、1903年10月、アメリカ数学会での事です。示された演題は「大きな数の素因数分解」
コール博士は無言のまま、まず2を67乗し、1をひいた。それから、おもむろに黒板に、193707721と761838257287のかけ算を始めた。これ、概算すると21桁に達して1京を超え、筆算すると108回のかけ算九九を唱えて少なくとも9段のかけ算結果を書きだし、足し算をしないといけません。コール博士が沈黙のうちに計算を終え、沈黙のまま段を降りて席に戻り、少し間があり、会場から拍手がわき起こった。答えとして示された21桁の数は、最初に行われた2を67乗し、1をひいた数、二百数十年前にマラン・メルセンヌが素数だと主張した数、そのものでありました。

何が楽しいって、まずそのかけ算。2の67乗!かければかけるほど桁数が増えていきます。21桁に達します。桁数が多すぎます。その次も9桁と12桁のかけ算! また21桁! 気が狂いそうです。それをやった。アメリカ中の数学研究者達が見つめる中で。気が遠くなりそうです。でもやり遂げた。計算ミスもせずに、ピタリと偽メルセンヌ素数がかち割られた。マラン・メルセンヌの誤りが暴露した。カッコいいじゃぁないですか。まるで射的選手がライフル銃で、見えないくらい遠くのリンゴを正確に撃ち抜いたようだ。
そして発表の間、余計な事は何一つ言わなかった。挨拶もしなかった。(一言も口をきかないというのは曖昧な描写で、じつは挨拶くらいしたかも知れませんが……)それでも、賞賛すべき業績が示された事が分かるんですね。以心伝心です。気持ちがいい話ではありませんか。
また、謎の計算を始めたコール博士を見守り、計算が終わっても見守り、博士が席についても黒板を見つめ、理解し、拍手した聴衆。中高生は突然先生が21桁のかけ算を始めたりしたら、途中で野次を飛ばすか、内職を始めるでしょ。そうじゃないんですね。この日ニューヨークに集まった数学研究者達は、目の前で始まった謎の計算に、何かの予感を感じて、何が示されるのか見極めようとする、そういう態度を持っていたのです。それが素晴らしいと思います。未知なるものが目の前に示されようとするのを感じ取り、その儀式を慎みをもって、興味津々で、見守る姿勢。すばらしい。

数学の楽しみ、喜びとは、たとえばこんなものかなと思います。いや、これが蘊奥であるとは言えないかも知れませんが。
posted by FORWARD-ac at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2012年10月21日

二次関数の特別な点

教育で練馬から世界を変える!
石神井公園の個別指導塾FORWARD塾長の、松尾直樹です。
本日、大変マニアックな事を書きます(笑)

最近、しばらくぶりに数学の指導を担当する機会がチラホラありました。FORWARDは数学を指導できる人材は比較的豊富なので、私が数学を見る機会はそれ程多くないのですが、なんだかんだと数学は美しい学問です。その美しさを、私は十分には味わえていないと思いますが…もう一度大学にはいれるなら、美学か数学を勉強したいです。

それはさておき、最近勉強したことの話です。中学三年で習う二次関数のグラフは、日本語では放物線と呼びますが、ヨーロッパ言語ではパラボラなどと言います。パラボラアンテナのパラボラです。パラボラアンテナというのは、断面が放物線状になるように作られた反射板と受信装置からなるアンテナのことなんですね。二次関数の放物線には、軸と並行に入射した電磁波を反射すると、その反射された電磁波がある一点に集まるという性質があるので、そこに受信機を設置しておくと、あのお皿全体で受けた電磁波を全部、受信機に集めることができるのです。その焦点が頂点からどれだけ離れているかは、放物線の二次の項の係数のみに依存し決定されます。

また、この焦点は同時に離心率の中心でもあります。離心率というのは、ある直線と、直線から離れた定点を設定したとき、動点Pを、直線と定点からの距離の比が一定になるように動かすとすると、その比を離心率と言い、離心率を1:1にすると放物線がかけます。(そもそもパラボラというのは、同じだけ離れているという意味だそうで、定点からの距離の方が直線からの距離よりも遠い線はハイパーボラと呼ぶ、そうです)

ちなみに、両者は同じ点になり、頂点から1/4a離れています。(aは二次の項の係数)

そんなわけで二次関数には焦点があり、それは離心率の中心でもあるのですが、他にも特別な点…中心…何点と言うのか、何心と言ったら良いのか、よくわからないですが、そう言う点があることを発見しました。
放物線の軸上のある点を通る直線を描くと、放物線との2交点と、その放物線の頂点との三点が、直角三角形を成すような点があり、直線の傾きによらず、これまた放物線の二乗の項の係数のみに依存し、頂点からどれだけ離れているか決まります。ちなみに、1/aです。

こういった知識は、蓄えておくとセンター試験などの速解法を思いつくきっかけになったりします。ですから私は気づいたら収拾するようにしているのですが、なかなかまとめて紹介されていることはないので、正に「収拾」しないといけない。なかなか手に入らないのでもどかしいですが、宝探しのようで、楽しくもあります。

ちょっとした宝物を見つけて、テンション上がっている、塾長でありました。
posted by FORWARD-ac at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学